決め手は嗅覚!?味の8割を決める「レトロネーザル」
皆さんに質問です。
例えば、「美味しさ」という感覚は、次のうち、どの感覚によってもたらされるでしょう?
①視覚 ②嗅覚 ③味覚 ④聴覚 ⑤触覚
ちなみに、人が知覚(=認知)するときの五官の割合は、視覚が83%、聴覚が11%、臭覚3.5%、触覚1.5%、味覚はたったの1.0%というデータがあります。(『産業教育機器システム便覧』より)
今回の質問の場合は、「美味しさ」という味に関することなので、当然、答えは③の味覚と答えたいところですが、実は②の嗅覚が大きく影響していて、正解なんです。
「エー?!どうして??」って感じですよね。
ただ、もっと言えば、私たちの日常生活の中では、「美味しさ」は、上記の5官全てで感じていることが多々あるんです。
普段の生活では、「美味しい」と感じる感覚を「味覚」以外で感じた経験なんてしたことない、感じたこともないでしょうが、私たちは、日ごろから、甘みや苦みのような味覚だけではなく、視覚、触覚、嗅覚、聴覚の五感によって複合的に「美味しさ」を感じていたりしています。
例えば、触覚で言えば、同じ糖分の量でも、硬いクッキーより、柔らかいクッキーのほうが、甘いと感じるという調査結果があったり、
他にも、
- 目隠しして、鼻をつまみ、じゃがいもとりんごを食べ比べてもどちらかが分からなくなる。
- 鼻をつまんで食べると味がしなくなる。
- カキ氷のシロップは色と香りを変えているだけで、実は同じ味のシロップ。
- 市販の粉わさびは、わさびではなく(からし)に緑色とわさびの香りをつけただけ。
- 水の入ったカップに「レモン」「ミント」「コーヒー」といった香りをつけた蓋をかぶせて、飲んでもらう実験で、ほとんどの人が水であることがわからなかった。
など。
聴覚で言えば、「採れたて野菜のサラダです」だとか、「3つ星スイーツ店のチョコ」と言われたら、そうでなくても「さすが採れたて、美味しい」「やっぱり市販のチョコと違うわね。」って感じたりする、よく似た経験ってないですか。
このように、5官の一つ一つが、「美味しさ」という感覚に影響しているんですね。
つまり、私たちの「食事」は、私たちの5官から与えられる情報によって、美味しくいただくことができているんですね。
特に、発育過程の乳幼児にとっても、目に入る風景や家庭の雰囲気、一緒に食べている人の顔、食器や食具の色・形や素材、イスやテーブル、部屋の温度や湿度、食材の食感やにおいなど、食事をする環境とそれらの感覚が組み合わさって「美味しい」という個人的な経験と感覚が蓄積されていくのだろうと思います。
さて、冒頭の質問の答えについてですが、少し詳しくご説明をします。
人は、食べたときの「味覚」と「嗅覚」の情報が脳で統合されてから、その「味」を感じます。つまり、食べ物の「好き嫌い」もこのときに決まります。
人は、食品を食べるときに感じる「香り」を次の2種類のルートによって感じます。
- オルソネーザルアロマ: 鼻から直接嗅ぐ香り ※人以外の動物にも見られる経路
- レトロネーザルアロマ: 口に入れて飲み込むときに、喉から鼻に抜ける香り。※人にしか備わっていない喉からこみあげる香りを嗅ぐ経路
近年、スマートフォンを見ながらの“ながら食べ”をしている人をよく見かけますが、ながら食べをしているときの意識は、食事以外のことに向いているため、食後の満腹感や満足感が小さくなったり、味がわからなくなったり、沢山食べてしまう傾向があるという調査結果があります。
食事をするときは、食べ物の香り、味、食感など感じて食べるようにすれば、食べるスピードがゆっくりになり、満腹感や満足感にも気づきやすくなり、健康的な食生活の実現にも繋がります。
何より、食べることが楽しくなりますよ。
年齢を重ねるたびに気になる『キレイ』と『元気』。
時間に追われて、食べ物があふれる身の回りに流されながら何気にいると、体調が変?肌にくすみ?などなど顕著に現れる体の変化。私たちのカラダの細胞は、私たちが日ごろ食べているもので作られています。
焼くだけ、温めるだけの加工食品やコンビニ、スーパーのお惣菜食品などに頼った生活を送り続けると、生きた食の知識は得られませんし、添加物などの余計なものまで食べてしまうことになります。
自然の恵みである食物一つ一つに、私たちのカラダにとって良いものや悪いものが存在します。その特性を理解するうえでも、食材から調理して食べる習慣を身につけていきたいですよね。
食と生活スタイルを学ぶことが現代人にとても大事な知識。
酵素フード協会はあなたにあった食や食生活スタイルを見つけるお手伝いをしています。
※一部掲載写真は、ニチレイ「香りには2種類ある」から引用。https://www.nichirei.co.jp/lab/ms-nose/1-4.html